2005年07月26日

日露戦争が歴史に。「寄附勧誘と官庁」「旧式銃器の払下」。消防組の改組 〔第10週〕

以下、第10回(2005年6月16日)。


明治42、43年の記事を読んでいると、日露戦争が歴史になりつつあることが感じとれる。新しい時代に向かって通覧するのは明治43年(1910年)末で終りとした。この週末からは、日露戦前に遡ることにする。

「●鴻城丸船員の名誉  下関水上警察署の汽船鴻城丸船長三井豊造、機関士村田寿八の両氏は三十七八年戦役の際の功に依り金五十円宛下賜の辞令賞勲局より到達し廿八日下関警察署より交付ありたり」
(防長新聞・明治41年8月30日2面4〜5段)

「●露国水兵の遺骨伝送  日本海々戦の際阿武郡及び豊浦郡に露国水兵八名の屍体漂着し夫々仮埋葬に附しありしが今回露国に送還することとなり阿武郡役所書記一名は八名の遺骨を携さへ十九日夜佐世保鎮守府に向ひたり」
(防長新聞・明治42年6月22日2面5段)

「●東郷大将と鴻城丸  下関水上警察署長杉警部は旅順表忠塔除幕式参列のため客月二十日来関の東郷海軍大将を鴻城丸にて送迎の途中同船が日露戦役中特に日本海々戦に於て須佐に漂着せる捕虜五十名を収容し之を水雷艇に引渡したること及び常陸丸佐渡丸等遭難の際の如きも連昼夜遭難者の救助に尽瘁せしこと等の事実談を為したるに今回計らずも閣下を本船に迎ふることを得たるは洵に無上の光栄にて千古忘るべからざる好個の記念なりとの旨を語りたるに同大将は其後帰京後縦一尺六寸横二尺九寸五分の紙面に鴻城の二字を揮毫せる額面を当時の随行岩村少佐をして書留郵便を以て十三日杉署長に宛て送らしめたる由」
(防長新聞、明治42年12月15日2面4段)


*


社説「寄附勧誘と官庁」(防長新聞、明治42年7月2日2面1段、時事評論欄)。
「金銭物品の寄附は、其の性質に於て各人の任意行為たるや論を俟たず。然れども之を勧誘するに知事郡長徴村長駐在巡査等の口を以てすれば、被勧誘者の心的状態に一種の強制を感じ、若し其の勧誘を拒絶すれば、他日不利益なる報復を受くべしとの恐を抱かしむ。此の如く人民の弱点に乗じ出資を促すは、仮令其の目的義侠慈善に在りとするも、個人の自由意思を侵害するものにして、且つ一定の職務を帯ぶる地方官吏が、公務を取扱ふ時間を割きて私設事業に斡旋し、其の斡旋の功労に依り、手当金又は有功章等を受領するは、規律を紊乱するものと謂はざるべからず。〔中略〕。地方人民の頭上に落下する寄附の重立ちたるものを列挙すれば、赤十字社、武徳会、水難救済会、海員掖済会、愛国婦人会、軍人後援会、義勇艦隊資金等屈指に遑あらず。此等の事業は博愛慈善又は尚武愛国の精神に基くものにして、何人も之に賛成を表せざるものなしと雖も、其の賛成を表する為め寄附を為すや否やは、自ら別問題に属す。私人としては不義理の借財に責められ、自家の経済は収支相償はざるに拘はらず、奮つて公共事業に巨額の寄附を為すものゝ如き、其の事業のみより見れば恩人なれども、家長としては良家長に非ず、国民としては良国民に非ず、自ら修めて以て人に及ぼすの順序を顚倒するものなり。本県の官庁は近来稍や寄附勧誘の手を緩にせるものゝ如し。是れ消極的の一進歩なり」
(下線太字は引用者による)
「義勇艦隊」とは帝国海事協会による試み。平時は高速商船として就航し、戦時には仮装巡洋艦として軍用に用いる船舶を建造するために募金を募っていた。


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「●旧式銃器の払下  村田歩兵銃其他左の物は学校及び在郷軍人其他に対し夫々払下を許可せらるゝ事となりたれば希望者は左の価格を諒し注意事項により願書を差出すべしとなり〔以下略〕」
(防長新聞、明治43年11月3日2面4段)

実包および空包付で払い下げている。長谷川慶太郎氏が指摘していた民間の武器所有を別史料で確認したことになる。


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私設消防組から公設消防組への改組。資産あり、教育ある有力家が中核になり、消防組員を在郷軍人が占めることになるとの趣旨の記事が散見される。それが望ましい変化として報道されている。


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「遭難船の数々」(防長新聞、明治43年3月13日3面3段)。水難救済会の救護所のない海域で遭難が発生した場合、沿岸の警察官が地元漁民を指揮して救助に当たることになっていた。その事例。→水難救護法


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「ウラジオ巡洋艦戦隊行動図(1904年2〜8月)」(『日露戦争(二)---戦いの諸相と遺産---』軍事史学会編、錦正社、2005年6月新刊)が届いたので、配布した。第3週の内容と照合すると各救護所からの報告が理解しやすい。




以上、第10回(2005年6月16日)。

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1. 完璧な理論は自らの衰退を招く:  坂の上の雲「2」  [ 日本一小さい歴史書店 ]   2005年07月27日 07:37
只今、坂の上の雲を読んでおりますじゃ。

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